目次
解 題 中條泰彦
第一章 天玄賦 総論提綱通解
第一節 父母用論
身命/婚姻/産育/官職/訴訟/失脱/失物/求財/出行/旅人/家居/国防/征戦/疾病を占う
第二節 官鬼用論
身命/身分/婚姻/生産/官職/訴訟/失脱/求財/出行/旅人/家宅/移居/田蚕/国家/疾病/風水を占う
第三節 兄弟用論
身命/婚姻/生産/仕官/訴訟/失脱/求財/出行及び旅人/家宅/国家/国運命/征戦/疾病を占う
第二章 続 天玄賦
第一節 妻財用論
運命/財運/財事/身命/婚姻/生産/仕官/訴訟/失脱/失物/求財/出行/旅人/家宅/家相/農作/国家/征戦/疾病を占う
第二節 子孫用論
身命/婚姻/生産/仕官/訴訟/失脱/求財/出行/旅人/家宅/農蚕/農作/国家/疾病/墳墓を占う
第三章 通玄賦 通解
第四章 碎金賦 通解
第五章 黄金策 総断・千金賦 通解
第六章 応期断則
第七章 組織及び機関
第一節 六 神
六神の説明捕足
第二節 十 二 運
化爻十二運を用いる法例
第三節 四時の旺衰
第四節 歳星と歳破
第五節 月 建
占断上最も重大なる月建の応用法
第六節 日 辰(日辰は事の終始を司る)
活用法
第七節 冲
月 破
日 冲(暗動・冲起・日破)
爻 冲
第八節 合
于合支合
合 起
合 住
合 扶
合 化
合処冲に遇う
合中尅を帯びる
合を貪り尅を忘れる
三 合
三合の断法上の必要条件
第九節 空 亡
第十節 日 辰
第十一節 三 刑
自 刑
第十二節 六 害
六害を無視して誤った例
第十三節 神 煞
天乙貴人
十干禄
駅 馬
天 喜
劫 煞
往亡、咸池殺、精薀精読のこと
第八章 占断綱要
第一節 用 神
補 足
用神両現
用神不現と化出伏蔵
元 神(用神を生じる爻、我を助ける味方、
親のようなもの)
忌 神
空亡の場合
伏蔵の場合
仇 神
単析重交
六爻安静
独静独発
乱 動(常に断に苦しむ)
六爻尽動
第一節 化 爻(化出の十二支を化爻という)
化爻の用例
回頭の生尅
化出進退神
進 神
退 神
第九章 化出長生帝旺墓絶
第十章 断易用語別 解説
反 吟
伏 吟
泄 気
間 爻
暗 動
冲 起
合 起
合 住
合 扶
合 実
合処逢冲
冲々逢合
合中帯尅
貧合貧生忘尅
冲 開
冲 実
冲 散
填 実
圧 住
絶処逢生
尅処逢生
物来就我
我去尋物
反徳扶人
去煞留恩・忘恩留煞
助鬼傷身
随官入墓
空亡の例
空伏墓中避凶
三墓とは/空亡の例/伏蔵の例
第十一章 占 例
第一節 病 占
自占・吉兆/近病/久病/父母/兄弟/子孫/妻財/病占秘訣
第二節 物価・相場
第三節 魚 運
第四節 土の十二運について
第五節 吉方位の選定について(あるいは時間)
特別付録 万年暦
内容説明
解 題
このたび縁あって、菊地聖典師が生前中に私塾(?)で講義されたのを受講生がノートに記録した、いわゆる講義録を拝読する機会に接した。
筆録された萩原孝堂氏はノートの冒頭にこんな走り書きを記している。
「断易精蘊を教科書として、菊地先生より講義を受ける。そのノート八冊である。反復熟読頑解、墨を擦ってペンで書く」と。
この『断易精蘊』は少しでも断易に関心がある方なら知っている日本断易界の〝中興の祖〟と呼ばれる九鬼盛隆師が著した古典的名著です。
師は〝汗牛充棟〟とも言われる断易書の中から、日本の風土に適した断易として、『断易精蘊』をまとめられたと思います。中身は漢文調の文語体で書かれ格調高いものです。
それを何度も咀嚼して、かなり易しい文語体で解説されているのが菊地聖典師の講義録だと思います。さらに九鬼師を意識してか、新たな断易理論の模索もされたような気もします。
私の感じるところ、『ト筮正宗』巻之四、「黄金策聡断千金賦」あたりが、当たらずといえども遠からず、九鬼、菊地両師の理論的根拠の中心になっている感じがします。
ここで両師、九鬼師と菊地師を浅学菲才の身を棚に上げて比較するならば、前者の方が時代的に先、後者の方が時代的に後、それ故に両者の取り上げている占例に大きな特長がみられます。おそらく生活基盤からの違いからでしょう。
九鬼先生晩年の著、『断易真義』の占例は完全な文語体、時代を考えるならば致し方のないこと。
本書、菊地師の講義録を一読したところでは、古い占例が昭和14年(一九三九)の日華事変から始まり、最終は昭和27年(一九五二)の大相撲の全盛期、千代の山、東富士、羽黒山の勝負戦の占断が載っている。また双葉山も相撲とは別な意味で登場しています。戦後教育の影響もあってか、終戦後の文体はかなり口語体になりつつある気がします。
日本の「断易」の斯界史を紐解くならば、九鬼師の作成した日本版「断易教科書」が、菊地私塾で花開き増補改訂され、ここで学んだ諸氏が日本の断易を守ってきた一面もあります。
私にとってこの講義録はまさに目から〝うろこ〟です。
斯界の泰斗による〝宝典〟〝奥義〟として広く江湖に、理論・実践の座右の書とされますようお薦めいたします。
平成22年9月 吉日
日本陰陽会会長 中條泰彦