目次
算命占法(上)
上住節子著 上製箱入り A5判 360頁 本体4,200円
はしがき
世界がどれほどグローバル化しようとも、東洋に固有の文化やものの考え方は、そう簡単に変わるものではありません。
先に上梓した『宿曜占法』(大蔵出版)でも述べましたように、「陽」の文化を信奉する欧米の人びとが、分化・発展と闘争に終始してとどまるところを知らないのに対して、私たち東洋人は、内包・含蓄と平和の「陰」の文化に支えられてきました。
本書でご紹介する「算命占法」もまた、欧米化され危機と不安に満ちた今日の社会で、「陰」の働きを重視する「老荘思想」に依拠して、平穏な生き方を見いだすことを本来の目的としています。
人間にはそれぞれもって生まれた「命」(素質・能力)があり、この命を知って(知命)、それを十二分に開花させるべく努力することを「立命」といいます。
一方、自らの命を知ろうともせず、あるいは命に反して、不幸で不安定な一生を送り、それを「運命」と諦めるのを宿命論といいます。
算命占法は、人びとが、自らの命を知り、その命に従って無為自然で平穏に生き、自らの命を全うするためのもので、そのために編み出されたのが、陰陽・五行と、十干・十二支、及び「十大主星」と「十二大従星」による算命占技です。
この場合、陰陽の「陽」は、人が一生を通じて生成・発展し、自らを高揚・顕示していく働きをいい、「陰」は、陽の働きと平衡して、自らの活力を内に蓄積していく働きをいいます。
そして「五行」は、この陰・陽という二つの側面をもつ生命の活動の在り方を、木・火 ・土・金・水という五つの抽象的な概念で説明したものです。
さらに「十二支」は、人間の一生に象徴される生命の生成・発展・収斂・閉蔵の循環過程を十二の段階に分けて、それぞれの段階で本人をとりまく内外の状況を示したものであり、「十干」は、その各段階の状況に本人がどう対応すべきかを表わしています。
人への応対から、仕事への対応までを含めて、人の一生のこの対応・応対の仕方が、運命を大きく左右することになります。
このような生命活動の原理を知って、それを実践することができれば、人生の禍福・吉凶は大きく変わってきます。
なお、十干と十二支から導き出される「十大主星」と「十二大従星」は、どちらかといえば「算命学」に固有な占技の領域に属する概念ですから、本書では扱わず、『算命占法 ・下』で詳しく述べることにいたします。
東洋では、すでに殷の時代(前一五世紀頃)に「干」「支」が、そして西周から春秋の時代(前一一世紀頃~前五世紀)には陰陽や五行が、方位(空間)や暦(時間)を含む人びとの日常生活に深くかかわっていました。
その後、戦国時代末から漢代(前五世紀~後三世紀)にかけて「陰陽五行説」が形成されるに及んで、陰陽と五行は、東洋の思想律・道徳律となって、立ち居振る舞いはもちろん、出処進退を含む人びとの行為のすべてを律するようになりました。
さらに、魏晋南北朝時代から隋・唐(三世紀~一〇世紀)に至って、老荘思想の強い影響下で「陰陽五行説」が「干支五行説」へと発展し、李虚中がそれらの説をもとに、人間の生年月日の六干支から、禍福・吉凶や運勢を占う「算命学」の基本的な体系を形成し、その後、五代時代(九〇七~九六〇年)に徐子平が「四柱」の法を作ります。
以上の歴史をふまえて第二次大戦後、「算命学」を広く世にひろめられたのが高尾義政氏でした。本書でご紹介する「算命占法」は、基本的に氏の思想と占技を継承するものです。
ここでいう算命占法とは、先に述べましたように、人間が生まれながらに持っている素質と能力(命)や、本人を取りまく内外の状況と運の流れなどを、生年月日の干支(「命式」と「星図」、「大運表」など)から読み取り、それをどう開花させ、あるいは活用していくか(算)を、見て計る(占)方法(法)のことです。
算命学について、長年筆者の心中を去来することがらがあります。それは、占技の基本となるものの考え方(思想原理)について、総合的でわかりやすい説明に、近年ほとんど接しなくなっていることです。
何らかの説明がされていても、陰陽そのものである宇宙の生命活動自体(「道」)の本質について全く触れていなかったり、陰陽についても、たいていの場合、天地とか男女とかプラスとマイナスなど、ただ表面的で部分的な側面を例示するだけで、人の一生を含む生命活動の二つの側面としての「陰」と「陽」の働きそのものの本質を、ほとんど解明していません。
「五行」に関しても、五行を単に気の運りとする、「五行思想」の初期段階の解釈や宋代儒教の教義を繰り返すだけで、漢から唐代にかけて成熟した、人間の行為を律する思想律・道徳律としての側面を無視する説明が大半です。
さらに「干・支」の説明についても、空疎で抽象的な概念をただ雑然と並べるだけであったり、あるいは個性の観念が、明治以後欧米からわが国に導入されたのを受けて盛んになった、干支で人の性格や相性を読み取る分野に偏重しすぎて、時勢の流れを見たり、人の一生の運気の流れを読む、干支本来の役割が等閑に付されがちになっています。
このような最近の趨勢を考えて、本書では『算命占法・下』で、占技の秘密奥義を率直に述べるのに先立ち、まず第一に、算命占法の根本原理である老荘思想の核心部分、つまり、人間もその一部分である、宇宙の生命活動の本来の姿(道)や、その活動の二つの側面である陰・陽についての説論を、原典の『老子』と『荘子』を引用して明らかにし、その上で、日常生活でも具体的に見ることができる、生命活動の五つの形態と在り方(五行)について、古来の伝承に従った古典の解釈を記載しておきました。
とくに「五行思想」に関しては、老荘思想と道教の影響を深く受けている唐代の考え方││五行を人間の思想律とする算命占法の考え方││と、宋学(宋代の儒学)に深く影響されている、五行を気の運りとする四柱の考え方との違いについて、率直に触れてあります。
また「干・支」に関しても、先に述べましたような、古来から伝承されてきた解釈を、古典に則って十干と十二支のそれぞれについて詳述し、最後に「六十花甲子」の各年の状況と、それへの対応の仕方を述べた次第です。
たまたま二〇〇一年は干支から見て「辛金の巳」という、一大変革の歳にあたり、二〇〇二年は「壬水の午」で、トップの人事、つまり指導者の資質と能力いかんで、人びとの運命が大きく左右される歳になっています。
このような具体的な叙述も、読者の方々の今後の生き方に役立つのではと考え、世界の一大転機となった一九六四年(甲辰)から一九八三年(癸亥)までの二〇年間の各年について、干支の解説とともに、その年に発生した事柄との関連をご説明いたしました。
なお、古代、陰陽・五行・十干・十二支が、どのように人びとの日常生活や国家の政策遂行を律してきたかを示す最もよい例として、『呂氏春秋』「十二紀」(『礼記』では「月令」と名づけられる)の抄訳を載せておきましたが、ここに記されている四季の特徴は、約一五〇〇年後の今日もなお「調候法」や「守護神法」の占技にとって、不可欠なテキストとなっています。
本書に対しては、各方面からさまざまなご意見が寄せられることと存じます。素直に耳を傾けて、本書の内容をさらに充実させていくつもりです。
算命学だけでなく、命理学のいろいろな分野の初学者の方々から、長年実占に携わっていらっしゃる方々まで、本書が広くお役に立てれば、これに過ぎる喜びはございません。
最後に『宿曜占法│密教占星術│』の出版以来、いつも変わらず真摯にご鞭撻くださっている谷村英治氏と、本書の出版にご尽力いただいた東海林秀樹氏、及び斎藤勝巳氏に、改めて心からお礼を申し上げます。
平成十四年四月 上住 節子
目 次
はしがき
第一章 道と陰陽五行
第一節 「算命思想」の揺籃期─「老荘」の道と陰陽
一 「算命思想」の原点─老荘思想の「道」
1 木 鶏
2 天下の母
3 「道」と名
二 陰・陽の対待
1 「道」の働き
2 陰・陽の本義
3 陰・陽相い待み相い応ず
三 陰・陽に関する諸説
1 陰・陽の字義について
2 陰陽を柔と剛、地と天等に配する説
3 暦に関連する説
4 方位等に関する説
5 数や礼等に関する説
第二節 「算命思想」の展開─五行の思想
一 「五」という数の意味
二 「五行説」の形成
1 「五行説」の形成過程─漢代まで
2 「洪範」の五行説─五行生成説
3 『春秋左氏伝』の五行説─相生・相剋説の原型
4 『呂氏春秋』「十二紀」と「陰陽五行説」の完成
5 五徳終始説─相剋、相生説
五徳終始説の形成
五徳相勝説(相剋説)
五徳相生説
第三節「陰陽五行説」の具体化─帝王の学としての『呂氏春秋』「十二紀」
一 春季の月令(一~三月)
1 孟春紀(一月)
2 仲春紀(二月)
3 季春紀(三月)
二 夏季の月令(四~六月)
1 孟夏紀(四月)
2 仲夏紀(五月)
3 季夏紀(六月)
4 中央土─土用
三 秋季の月令(七~九月)
1 孟秋紀(七月)
2 仲秋紀(八月)
3 季秋紀(九月)
四 冬季の月令(十~十二月)
1 孟冬紀(十月)
2 仲冬紀(十一月)
3 季冬紀(十二月)
第四節 五行の本義
一 「陰陽五行説」の展開─漢代以後の「陰陽五行説」と命理学の形成
二 「五行」の字義
三 各「行」の本義
1 木 行
木という字の意味
木の活動形態
2 火 行
火という字の意味
火の活動形態
3 土 行
土という字の意味
土の活動形態
4 金 行
金という字の意味
金の活動形態
5 水 行
水という字の意味
水の活動形態
第二章 「干支五行説」の完成と天干・地支
第一節 干支五行説の完成
一 干支五行説の形成と命理学
二 干支暦の完成
三 二十八宿と干支五行説
第二節 天干(十干)の本義
1 甲(木の兄 甲木) 2 乙(木の弟 乙木)
3 丙(火の兄 丙火) 4 丁(火の弟 丁火)
5 戊(土の兄 戊土) 6 己(土の弟 己土)
7 庚(金の兄 庚金) 8 辛(金の弟 辛金)
9 壬(水の兄 壬水) 10 癸(水の弟 癸水)
第三節 地支(十二支)の本義
1 子 2 丑 3 寅 4 卯
5 辰 6 巳 7 午 8 未
9 申 10 酉 11 戌 12 亥
第四節 六十花甲子の本義
1 甲 子 2 乙 丑 3 丙 寅 4 丁 卯
5 戊 辰 6 己 巳 7 庚 午 8 辛 未
9 壬 申 10 癸 酉 11 甲 戌 12 乙 亥
13 丙 子 14 丁 丑 15 戊 寅 16 己 卯
17 庚 辰 18 辛 巳 19 壬 午 20 癸 未
21 甲 申 22 乙 酉 23 丙 戌 24 丁 亥
25 戊 子 26 己 丑 27 庚 寅 28 辛 卯
29 壬 辰 30 癸 巳 31 甲 午 32 乙 未
33 丙 申 34 丁 酉 35 戊 戌 36 己 亥
37 庚 子 38 辛 丑 39 壬 寅 40 癸 卯
41 甲 辰 42 乙 巳 43 丙 午 44 丁 未
45 戊 申 46 己 酉 47 庚 戌 48 辛 亥
49 壬 子 50 癸 丑 51 甲 寅 52 乙 卯
53 丙 辰 54 丁 巳 55 戊 午 56 己 未
57 庚 申 58 辛 酉 59 壬 戌 60 癸 亥
研究図書紹介
附 録
小 辞 典
おわりに
上住節子著 上製箱入り A5判 360頁 本体4,200円
はしがき
世界がどれほどグローバル化しようとも、東洋に固有の文化やものの考え方は、そう簡単に変わるものではありません。
先に上梓した『宿曜占法』(大蔵出版)でも述べましたように、「陽」の文化を信奉する欧米の人びとが、分化・発展と闘争に終始してとどまるところを知らないのに対して、私たち東洋人は、内包・含蓄と平和の「陰」の文化に支えられてきました。
本書でご紹介する「算命占法」もまた、欧米化され危機と不安に満ちた今日の社会で、「陰」の働きを重視する「老荘思想」に依拠して、平穏な生き方を見いだすことを本来の目的としています。
人間にはそれぞれもって生まれた「命」(素質・能力)があり、この命を知って(知命)、それを十二分に開花させるべく努力することを「立命」といいます。
一方、自らの命を知ろうともせず、あるいは命に反して、不幸で不安定な一生を送り、それを「運命」と諦めるのを宿命論といいます。
算命占法は、人びとが、自らの命を知り、その命に従って無為自然で平穏に生き、自らの命を全うするためのもので、そのために編み出されたのが、陰陽・五行と、十干・十二支、及び「十大主星」と「十二大従星」による算命占技です。
この場合、陰陽の「陽」は、人が一生を通じて生成・発展し、自らを高揚・顕示していく働きをいい、「陰」は、陽の働きと平衡して、自らの活力を内に蓄積していく働きをいいます。
そして「五行」は、この陰・陽という二つの側面をもつ生命の活動の在り方を、木・火 ・土・金・水という五つの抽象的な概念で説明したものです。
さらに「十二支」は、人間の一生に象徴される生命の生成・発展・収斂・閉蔵の循環過程を十二の段階に分けて、それぞれの段階で本人をとりまく内外の状況を示したものであり、「十干」は、その各段階の状況に本人がどう対応すべきかを表わしています。
人への応対から、仕事への対応までを含めて、人の一生のこの対応・応対の仕方が、運命を大きく左右することになります。
このような生命活動の原理を知って、それを実践することができれば、人生の禍福・吉凶は大きく変わってきます。
なお、十干と十二支から導き出される「十大主星」と「十二大従星」は、どちらかといえば「算命学」に固有な占技の領域に属する概念ですから、本書では扱わず、『算命占法 ・下』で詳しく述べることにいたします。
東洋では、すでに殷の時代(前一五世紀頃)に「干」「支」が、そして西周から春秋の時代(前一一世紀頃~前五世紀)には陰陽や五行が、方位(空間)や暦(時間)を含む人びとの日常生活に深くかかわっていました。
その後、戦国時代末から漢代(前五世紀~後三世紀)にかけて「陰陽五行説」が形成されるに及んで、陰陽と五行は、東洋の思想律・道徳律となって、立ち居振る舞いはもちろん、出処進退を含む人びとの行為のすべてを律するようになりました。
さらに、魏晋南北朝時代から隋・唐(三世紀~一〇世紀)に至って、老荘思想の強い影響下で「陰陽五行説」が「干支五行説」へと発展し、李虚中がそれらの説をもとに、人間の生年月日の六干支から、禍福・吉凶や運勢を占う「算命学」の基本的な体系を形成し、その後、五代時代(九〇七~九六〇年)に徐子平が「四柱」の法を作ります。
以上の歴史をふまえて第二次大戦後、「算命学」を広く世にひろめられたのが高尾義政氏でした。本書でご紹介する「算命占法」は、基本的に氏の思想と占技を継承するものです。
ここでいう算命占法とは、先に述べましたように、人間が生まれながらに持っている素質と能力(命)や、本人を取りまく内外の状況と運の流れなどを、生年月日の干支(「命式」と「星図」、「大運表」など)から読み取り、それをどう開花させ、あるいは活用していくか(算)を、見て計る(占)方法(法)のことです。
算命学について、長年筆者の心中を去来することがらがあります。それは、占技の基本となるものの考え方(思想原理)について、総合的でわかりやすい説明に、近年ほとんど接しなくなっていることです。
何らかの説明がされていても、陰陽そのものである宇宙の生命活動自体(「道」)の本質について全く触れていなかったり、陰陽についても、たいていの場合、天地とか男女とかプラスとマイナスなど、ただ表面的で部分的な側面を例示するだけで、人の一生を含む生命活動の二つの側面としての「陰」と「陽」の働きそのものの本質を、ほとんど解明していません。
「五行」に関しても、五行を単に気の運りとする、「五行思想」の初期段階の解釈や宋代儒教の教義を繰り返すだけで、漢から唐代にかけて成熟した、人間の行為を律する思想律・道徳律としての側面を無視する説明が大半です。
さらに「干・支」の説明についても、空疎で抽象的な概念をただ雑然と並べるだけであったり、あるいは個性の観念が、明治以後欧米からわが国に導入されたのを受けて盛んになった、干支で人の性格や相性を読み取る分野に偏重しすぎて、時勢の流れを見たり、人の一生の運気の流れを読む、干支本来の役割が等閑に付されがちになっています。
このような最近の趨勢を考えて、本書では『算命占法・下』で、占技の秘密奥義を率直に述べるのに先立ち、まず第一に、算命占法の根本原理である老荘思想の核心部分、つまり、人間もその一部分である、宇宙の生命活動の本来の姿(道)や、その活動の二つの側面である陰・陽についての説論を、原典の『老子』と『荘子』を引用して明らかにし、その上で、日常生活でも具体的に見ることができる、生命活動の五つの形態と在り方(五行)について、古来の伝承に従った古典の解釈を記載しておきました。
とくに「五行思想」に関しては、老荘思想と道教の影響を深く受けている唐代の考え方││五行を人間の思想律とする算命占法の考え方││と、宋学(宋代の儒学)に深く影響されている、五行を気の運りとする四柱の考え方との違いについて、率直に触れてあります。
また「干・支」に関しても、先に述べましたような、古来から伝承されてきた解釈を、古典に則って十干と十二支のそれぞれについて詳述し、最後に「六十花甲子」の各年の状況と、それへの対応の仕方を述べた次第です。
たまたま二〇〇一年は干支から見て「辛金の巳」という、一大変革の歳にあたり、二〇〇二年は「壬水の午」で、トップの人事、つまり指導者の資質と能力いかんで、人びとの運命が大きく左右される歳になっています。
このような具体的な叙述も、読者の方々の今後の生き方に役立つのではと考え、世界の一大転機となった一九六四年(甲辰)から一九八三年(癸亥)までの二〇年間の各年について、干支の解説とともに、その年に発生した事柄との関連をご説明いたしました。
なお、古代、陰陽・五行・十干・十二支が、どのように人びとの日常生活や国家の政策遂行を律してきたかを示す最もよい例として、『呂氏春秋』「十二紀」(『礼記』では「月令」と名づけられる)の抄訳を載せておきましたが、ここに記されている四季の特徴は、約一五〇〇年後の今日もなお「調候法」や「守護神法」の占技にとって、不可欠なテキストとなっています。
本書に対しては、各方面からさまざまなご意見が寄せられることと存じます。素直に耳を傾けて、本書の内容をさらに充実させていくつもりです。
算命学だけでなく、命理学のいろいろな分野の初学者の方々から、長年実占に携わっていらっしゃる方々まで、本書が広くお役に立てれば、これに過ぎる喜びはございません。
最後に『宿曜占法│密教占星術│』の出版以来、いつも変わらず真摯にご鞭撻くださっている谷村英治氏と、本書の出版にご尽力いただいた東海林秀樹氏、及び斎藤勝巳氏に、改めて心からお礼を申し上げます。
平成十四年四月 上住 節子
目 次
はしがき
第一章 道と陰陽五行
第一節 「算命思想」の揺籃期─「老荘」の道と陰陽
一 「算命思想」の原点─老荘思想の「道」
1 木 鶏
2 天下の母
3 「道」と名
二 陰・陽の対待
1 「道」の働き
2 陰・陽の本義
3 陰・陽相い待み相い応ず
三 陰・陽に関する諸説
1 陰・陽の字義について
2 陰陽を柔と剛、地と天等に配する説
3 暦に関連する説
4 方位等に関する説
5 数や礼等に関する説
第二節 「算命思想」の展開─五行の思想
一 「五」という数の意味
二 「五行説」の形成
1 「五行説」の形成過程─漢代まで
2 「洪範」の五行説─五行生成説
3 『春秋左氏伝』の五行説─相生・相剋説の原型
4 『呂氏春秋』「十二紀」と「陰陽五行説」の完成
5 五徳終始説─相剋、相生説
五徳終始説の形成
五徳相勝説(相剋説)
五徳相生説
第三節「陰陽五行説」の具体化─帝王の学としての『呂氏春秋』「十二紀」
一 春季の月令(一~三月)
1 孟春紀(一月)
2 仲春紀(二月)
3 季春紀(三月)
二 夏季の月令(四~六月)
1 孟夏紀(四月)
2 仲夏紀(五月)
3 季夏紀(六月)
4 中央土─土用
三 秋季の月令(七~九月)
1 孟秋紀(七月)
2 仲秋紀(八月)
3 季秋紀(九月)
四 冬季の月令(十~十二月)
1 孟冬紀(十月)
2 仲冬紀(十一月)
3 季冬紀(十二月)
第四節 五行の本義
一 「陰陽五行説」の展開─漢代以後の「陰陽五行説」と命理学の形成
二 「五行」の字義
三 各「行」の本義
1 木 行
木という字の意味
木の活動形態
2 火 行
火という字の意味
火の活動形態
3 土 行
土という字の意味
土の活動形態
4 金 行
金という字の意味
金の活動形態
5 水 行
水という字の意味
水の活動形態
第二章 「干支五行説」の完成と天干・地支
第一節 干支五行説の完成
一 干支五行説の形成と命理学
二 干支暦の完成
三 二十八宿と干支五行説
第二節 天干(十干)の本義
1 甲(木の兄 甲木) 2 乙(木の弟 乙木)
3 丙(火の兄 丙火) 4 丁(火の弟 丁火)
5 戊(土の兄 戊土) 6 己(土の弟 己土)
7 庚(金の兄 庚金) 8 辛(金の弟 辛金)
9 壬(水の兄 壬水) 10 癸(水の弟 癸水)
第三節 地支(十二支)の本義
1 子 2 丑 3 寅 4 卯
5 辰 6 巳 7 午 8 未
9 申 10 酉 11 戌 12 亥
第四節 六十花甲子の本義
1 甲 子 2 乙 丑 3 丙 寅 4 丁 卯
5 戊 辰 6 己 巳 7 庚 午 8 辛 未
9 壬 申 10 癸 酉 11 甲 戌 12 乙 亥
13 丙 子 14 丁 丑 15 戊 寅 16 己 卯
17 庚 辰 18 辛 巳 19 壬 午 20 癸 未
21 甲 申 22 乙 酉 23 丙 戌 24 丁 亥
25 戊 子 26 己 丑 27 庚 寅 28 辛 卯
29 壬 辰 30 癸 巳 31 甲 午 32 乙 未
33 丙 申 34 丁 酉 35 戊 戌 36 己 亥
37 庚 子 38 辛 丑 39 壬 寅 40 癸 卯
41 甲 辰 42 乙 巳 43 丙 午 44 丁 未
45 戊 申 46 己 酉 47 庚 戌 48 辛 亥
49 壬 子 50 癸 丑 51 甲 寅 52 乙 卯
53 丙 辰 54 丁 巳 55 戊 午 56 己 未
57 庚 申 58 辛 酉 59 壬 戌 60 癸 亥
研究図書紹介
附 録
小 辞 典
おわりに